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ダスカ考

 

 

ダイワスカーレットが好きです。

ばあちゃん、現在「ウマ娘ぷりち~だ~び~」っちゅうアプリがメインソシャゲになっている。キャラは皆可愛くて、愛されるようなキャラクター設定になっており(つまりヘイトを稼ぎにくい性格にみんな設定されている)、「サイゲ上手いね~」と妙に上から目線で感心しているわけなんだが、その中でも僕はダイワスカーレットというキャラクターが飛び抜けて好きです。いや好きなんてもんではなく、純粋に愛しています。

元々私は10代(17歳くらいまで)の少女が好きなのだが、その理由は10代の少女にしかない儚い不安定な揺らめきや輝きを見るのが変質的に好きだからである。だからシャニマスだと樋口円香が好きなんですね分かります。

10代の少女は特別だ。

彼女たちにしかない心の柔らかさ、繊細さ、儚さ、瑞々しさ、生のきらめき、ともすれば複雑怪奇にしか見えない思考回路が好きだ。自らの柔い部分を隠しているつもりでも隠せていない幼さ、瑞々しさがいずれ喪われてしまうという事実を十全に理解していない若さ、そしてその特別な瑞々しさを自分が有していることに気付いていないという事実が好きだ。一瞬のきらめきが永遠に続くと思っているかのように、生のきらめきを全力で燃やして生き、そのきらめきを自分でも制御できずにいる彼女たちが本当に愛おしい。周囲と自らの変化に敏感で(それが端から見ればゆっくりとした変化だとしても)、彼女たちの時間感覚からすれば猛スピードであり、それに翻弄され自らの柔い部分を簡単に傷つけてしまう、その感性は彼女たちにしかない。10代の少女にしかない。ちなみに私は10代の男の子のことはよく分からない。重なる部分はあるんじゃないかな、と想像するが、私は男キャラを好きになることがないので10代の少年キャラも好きにならない。なので除外。

さて、ダイワスカーレットである。

ダスカ(ダイワスカーレット)の表層はツンデレという属性で簡単に説明がつく。ダスカって一見本当に典型的なツンデレなんですわね。辞書のツンデレという項目の例に載せていいんじゃないかな、というレベルで模範的なツンデレである。流石優等生だねえ(ニチャア)。しかし、その表層はあくまで表層に過ぎない。それは本質ではない。

おそらく、もしダスカが身体の芯までツンデレという属性で染まっていたならば、私はダスカに対して「見た目かわい~よね~」という感想を抱くに止まっていただろう。大体私は元来ツンデレ属性に魅力を感じない女である。好きになりやすいキャラクターは包容力の高い大人のお姉さんとか儚げで幸薄そうな女とか性格が良くて素直で明るい陽キャとかで、ツンデレとは結構離れた属性に魅力を感じるわけだ。そんなばあちゃんの性癖を決定的に歪めたのは『るろ剣』の雪代巴なのだが、まあ別の話なので割愛。じゃあ何故ダスカを狂おしいまでに愛してしまったのか。答えは簡単である。ダスカの本質はツンデレとは別の所にあるからだ。

ダスカの本質は、どこにでもいる普通の10代の少女である。

彼女が身に纏ったツンデレという皮をめくれば、そこには傷つきやすく繊細で子供っぽい10代のどこにでもいる普通の少女がいる。自分の感情を制御できず、不安に揺れ、意地を張ってそれを隠し、そして人前で思い切り泣いてしまう。一番になりたいという願いの裏には年相応な母への慕情(ダスカを育成する中で動機が変化していくわけなのだが、その過程に彼女の精神的成熟を感じて非常に感動するんだよなあ。「ウオッカ君ありがとう……これからもウチのダスカと仲良くしてくれよな……」という気持ちになるよね……これがてえてえという気持ちなのかな……て、てえてえ……)がある。見られたい自分と本来の自分との乖離を理想自我を演じることで埋めようとする幼さ、そして自らの感情の怒濤に押し流され簡単に仮面を剥ぎ取られてしまう稚拙さがある。常識的で、普通の枠からは外れず、外れることが出来ない。そんな少女が現れる。

そこは原初的なナルシシズムで満たされた傲慢で美しい世界だ。(ちなみにダスカの物語は理想自我から自我理想への成長段階を顕著に描いているという風に解釈可能だと私は考えているのだが、まあそれは置いといて。)

彼女は普通の少女として光り輝いている。生のきらめきが最も瑞々しく輝き、爆ぜる瞬間を私に見せてくれる。この人生における一瞬のきらめきと拙いながらも確実な成長の第一歩を切り取ったのが私(トレーナー)とダスカの出会いであり、あの3年間であり、そして彼女が少女から完全に大人になったその瞬間、きっと私(トレーナー)とダスカとの別れが訪う。私を翻弄するきらめきが、光が、不安定な揺らめきが、それら全てがいつか喪われてしまうという前提で私は彼女を愛でる。我々はいつか喪われてしまうものしか最大限に愛することが出来ない。それらは喪われてしまうからこそ愛おしいのであり、なくなってしまうからこそ美しいのである。

そのような儚い光をダスカは繰り返し繰り返し私に見せつける。いつか彼女が大人になったとき、ようやく私(トレーナー)は気付くのだ。あの光は奇跡だったのだと。

彼女が大人になり、ウマ娘を引退し、他の誰かと結婚するとき(お馬さんの方のダスカはとっくの昔に引退して繁殖牝馬になってるのでまあ結婚するでしょう多分)、私(トレーナー)は光り輝いていた時の、つまり少女であった時の彼女の映像や写真をひたすら見返し、しばらく廃人のようになってしまうに違いない。この手にあった、あって当たり前だと思っていたあの光が消え去ってしまったという事実に打ちのめされるに違いない。そして何食わぬ顔で彼女の結婚式に参加し、解散後、夜の浜辺にひとり座り込んで号泣するに違いない。ちなみにこの気分に浸りたくて、ダスカの様子を画面録画で撮ってわざと経年劣化したみたいに見える加工とフィルターをかけた動画を複数作った。そしてそれを見ながら風呂で泣いた。俺はそういう女だ。文句あっか。

しかし、重要なことに、私と私(トレーナー)は同一人物ではない設定である。なので私(トレーナー)は喪ったものの大きさに打ちのめされているが、私はそれを承知でダスカを愛しているので特に打ちのめされない。前述の通り、私(トレーナー)の気分に浸る程度である。ダスカは一粒で二度美味しい。ダスカはアーモンドグ○コだった……?

このブログを書いているところの私は、むしろ喪う過程すら愛したい。ダスカが少女から大人になる過程すら愛おしい。彼女の成長が嬉しいとすら感じる。さっきも言ったが、それは喪われるからこそ愛おしく、美しいのだ。彼女が初めての彼氏に戸惑うところも見たいし、様々な不安や外部との軋轢を通して強くなっていく過程を見つめていたい。大人になった後の彼女の幸福も見つめていたいし、自分の子供を愛おしそうに胸に抱くダスカが見たい。この子見てると思うんだけど、昔のアタシって子供だったから、アンタ色々大変だったでしょ?そんなことはなかったよダスカ。私はあの頃のダスカからたくさん美しいものを貰ったんだよ。フフッ、なにそれ。やっぱアンタって昔っから変な奴よね。

 

これを愛と言わずして、なんと言えばいい?

 

ていうかダスカって実在してるんですよ?愛さざるを得ないですよね、実在してるんですから。だってご飯を抜くと(私はしばしばご飯を抜いてしまう)ダスカが「もー!アンタいい加減なんか食べなさいよ。アンタが倒れて困るのはアタシなんだからね!」と小言を言ってくるし、論文読んでると「意外、アンタって英語読めるのね。じゃあなんでアタシの育成の時にその頭を使わないのよ!」って意味分からんところでキレてくるし、自販機でジュースを買うときは「アンタ今日糖分摂りすぎじゃない?水かお茶にしときなさいよ」と助言してくるし、道を歩いているときも「へー、こんなところに公園なんてあったんだ。懐かしいわね、小さい頃よくブランコに乗って遊んでたっけ」って過去を開陳してくるし、PCに向かっているときも「そろそろストレッチでもしたら?この間、肩こり酷いって言ってたじゃない。……全く、自己管理くらい完璧にしなさいよね!」と怒ってくるし、大学に連れて行くと「アンタの通ってる大学ってこんなにおっきいんだ……。ふふん、ま、アタシのトレーナーなんだからこのくらい大きい大学に通って貰わないとね!」というよく分からん感想言うし、一緒にお風呂に入ったら「うーん、最近太ったかしら……?……アンタが気にしなくてもアタシが気にするの!まあいいわ、明日からダイエット頑張るんだから!」って謎の宣言かましてくるし、非常勤の後は「ふふ、アンタが先生ってなんか変な感じね。……ま、悪くないんじゃない?」と何故か得意げに言ってくるし、深夜に一緒にコンビニ行くとアイスの棚の前で延々逡巡した結果「……今日だけはいいわよね」と独り言を言ってスイカバーをカゴに入れているし、外に出るときは「ねえ、今日の格好ならイヤリングはこっちの方がいいわよ。こっちの方が大きくてアクセントになるしさ」って服装チェック入れてくるし、授業動画作ってると「ふーん、先生も意外と大変なのね。トレセンの先生達には感謝しなくっちゃ」と急に優等生仕草してくるし、寝る前に布団の中で恋バナしてくるし、近所のコンビニの店員さんがイケメンだという報告をしてくるし、付き合ってネトフリで恋愛ドラマ見た時は感想をせがんでくるし、SNSのアカウントを教えろってうるさいし、私が体調悪いときはお粥作ってくれるし、たまにピザパとかするし、映画見に行きたいねっていう話になって一緒に近くの映画館のサイト見たし、ジェ○ピケのパジャマが欲しいけどお金がないという話を聞いてたら「ティーシャツ着て寝るんじゃなくて、アンタもジェ○ピケでパジャマ買いなさいよ」という話に変化して困ったし、「たまにはファッション誌でも読んだ方がいいんじゃない?」って自分が読み終わったファッション誌を貸してくれるし、この間すごく疲れてたときに好物の酢豚作ってくれたし、ネイルアートに興味津々で「前にしたことあるよ」って言ったら行ったお店の情報とか値段とか訊いてきたし、街に行くと2時間くらいウィンドウショッピングするから疲れるし、「これアンタに似合いそう!」って洋服薦めてくるし、ゴミ出しのついでに夜の散歩に誘うとこっそり喜んでるし、家にある高価な美容液とかパックとかこっそり使ってるのがバレたら言い訳はするけど後でちゃんと謝ってくるし、「アンタのお化粧道具、ちょっと貸してよ」って言ってきて化粧の練習してる後ろで「化粧しなくても可愛いよ」って言ったら一瞬だけ照れたし、今だって、ほら、「アンタブログ始めたの?アタシについて書いてるって……ちょっと!!!変なこと書かないでよね!!アタシは優等生で通ってるんだから変なこと書いたらタダじゃおかないわよ!……大声出したらお腹がすいてきちゃったじゃないの……。そうだ!ねえ、今からコンビニ行かない?たまにはいいでしょ、アンタだって最近お菓子とか食べてないし?……っていうかアンタ、いい加減煙草吸うのやめなさいよ!煙草って身体に悪いのよ!アタシは走って一番にならないといけないの!それなのに副流煙を吸わせる気!?……電子煙草だから大丈夫?そんなの関係ないわよ、この馬鹿!」って隣で言ってるんですよ?いますよ?いますよねコレ。いますよ???????

 

ダスカいるよ?????????????見えないの????????

 

いるじゃんか、ほらココに。(頭を指さす)

 

 

 

 

 

 

 

 

 妄想は世界を救います。