クッキーは焼かない

クッキーは配るもの

円環の紙幣燃やし部

 

 

火種を纏いながら灰になって空一面に舞う紙幣はきっと綺麗だ。

「ブログを書くという趣味は金がかからないからいい」という記述をかつてどこかで見た気がする。確かにブログを書くのに金は要らない。PCかスマホはいるから間接的に金がかかってるって?うるせえ、直接的には要らんじゃろがい。まあ別に金がかかる=悪い趣味であるという思想はないのだが。

今月は『ウマ娘シンデレラグレイ』を3巻買って、続きが気になりすぎて気付いたらヤンジャンのアプリに課金をしていました。まだ『シンデレラグレイ』が始まったばかりでよかったです。課金するときに聞こえるカキーンという音が心をむしばむ。なんだあの音は嫌がらせかァ!?

しかしこの世は金に支配されていると実感することが最近増えた。美容師と話す内容も金儲けの話とこの世の男は6割ろくでもないという呪詛の話に収束していく。ごくまれに友人と話しても大抵賃金の低さの嘆きへと話が移行する。かさむ飯代、本代、煙草代、YO!世界が崩壊した後、紙幣をドラム缶で大量に焼く夢を見て生きている。その炎で私は最後の煙草に火を着け、煙に霞む濃い橙の夕焼けを見つめるのだ。

 

さて、「人と定期的に話しなさい」というアドヴァイスがここにある。あるのだが(しかし一体どんなアドヴァイスだよ)、周囲に人がいないとそもそも話せないわけである。「既婚者は家に帰りゃあ話し相手がいるからいいよなあ!?」というイチャモンをグッと堪え、ばあちゃんは神妙にアドヴァイスを受け入れる。人と話すの大事だしね、ジッサイ。増加する独り言セレクション金賞受賞、唐突に嫌な出来事を思い出し夜半に叫ぶ大賞ノミネート、理由もなく壁殴り部所属、そんな属性を日常に浸け洗いしているばあちゃんの明日はどうなる。あ、唐突に嫌な出来事を思い出して叫ぶのは遠藤周作もやってたらしいんで大丈夫っすよ。何が大丈夫なんだよ権威に縋るな。己に縋れ。

しかし縋るべき己も信用ならない。

この間、なんとなく歯科に行った。特に歯が痛いとか理由はない。最近行ってないなあという気持ちである。口をぱっくり開けて歯科医に口腔内を開陳する。アレ端から見たらすげえアホっぽいんだろうな。目だけギョロギョロさせながら、口の中をじっくり見てくる歯科医にソワソワとする時間が続く。「嫁入り前の女の口の中をこんなにじっくり見たんだから、ア、アンタ責任取りなさいよね!!///」といい加減掴みかかりたくなっているばあちゃんを華麗にスルーし、歯医者は真顔で話し始める。

歯医者「あーステインで表面が汚れてますね」

僕「ひょうへふはほーひーほは、あ、ひゃばほもふうのへ」

歯医者「これは落としましょう。あと上に2本親知らずありますね」

僕「ひゃい、ひひゃのひゃむかひぬいひゃんへふへほ」

歯医者「歯列がずれて奥に生えててロクに磨けてないですよ」

僕「マジすか」

歯医者に行った結果、この5~6年くらい親知らずがロクに磨けていなかったことが判明したのだが(これラノベのタイトルに使っていいよ)。ばあちゃんの口腔環境は乱世だよォ。というわけで歯医者で鉛筆みたいな形の歯ブラシを買って親知らずを個別に磨いている。僕は親知らずの位置すら知らなかったのである。思えば自分の大腸の形とか知らないし、この間尿道口について調べていて(なんで?)、女性の尿道口の位置を勘違いして30年存続してきたことも判明した。我々は自分の身体について何も知らないのである。何か将来、部分麻酔でばっさり開腹して「自分の臓器の形を直接見せてくれるツアー」みたいなの生じないかなと思っている。ばあちゃんはそれに参加したい。知らないは怖い。

というわけでばあちゃんの口腔環境は知らないうちに戦乱舞い散る戦国時代に突入していたのだが(BGM:よっし○あ漢唄)、これはなんとも嫌ですね。歯磨きをロクにしていなかったとかそういうのなら納得はいくのだが、ばあちゃんは普通に歯磨きしてその後小○製薬の糸ようじまでやってたのである。まあ結論から言えば歯磨きがロクに出来てなかったので責任は僕にあるのだが、でも、あのさあ自分の親知らずの位置を正確に把握してる人類がこの地球上にどんだけいるんだよ。ほぼいないよ。多分。知らんけど。しかし「なに?君、親知らずの位置すら把握してないの?」と小馬鹿にされる可能性もあるな。そうなったら無垢な小熊のフリをしてやり過ごす。

しかしだね、己の親知らずの位置も、臓器の形も、尿道口の位置も把握できていない無知なる自分の何を信じればいいんだい?

信用ならないのは自分である。己について何も知らない新生児ヴァブンゲリヲン─Give me OPPAI─的な存在者をどう信じろっちゅうんじゃ?己を救うのは己しかおらぬ、という世紀末覇者みたいな価値観で生きているばあちゃんだが、己を救う能力がなんかなさそうとも同時に思っている。「姫~!今から拙者が救いに行きますぞ!」つって馬に乗った途端落馬して骨折してそうというか。

結論としては、こんな女に学会の会計を任せてはならないという話です。そういうのは自分の親知らずの位置をハナから正確に把握している存在者に任せるべきなのです。俺はもうゆ○ち○銀行と戦いたくないんだ。延々続く書類作成、支店の人すら把握しきれていない巨大な仕組み、目標達成したと思ったら達成する前に生じる新たなミッション、支店と人の抽選によって説明が変化していくランダム要素。ランダム要素なんてなあ、ソシャゲのガチャでお腹いっぱいなんだよ!

だからといって、カウンターにいる人を安易に責めるのはやめましょうね。あれは全く意味がありません。その程度であの謎強固システムは倒せません(コンビニの年齢認証について店員さんに文句を言う行為も全く同じです)。お互いすり減るだけです。日○郵○の前でデモをしよう。夜は自分たちで持ち寄った紙幣を焼いて暖を取ろう。火種を纏いながら灰になって空一面に舞う紙幣はきっと綺麗だ。円環。そーれそーれそれそーれそ。