クッキーは焼かない

クッキーは配るもの

花いちもんめ

 

 

自分は選ばれる側の人間ではない、と感じる瞬間がある。

自分が花いちもんめで最後まで選ばれない子供のような、戦争に行けば真っ先に死ぬ前線の三等兵のような、社会が煮詰まっていくと真っ先に切り捨てられる弱者のような、そういう風に感じる瞬間が人生にはある。

あの子が欲しい。あの子は僕じゃない。シンプルで分かりやすい。サイコー。

私は物語の主人公にはなれない。ていうか多分エキストラにすらなれない。物語の枠外で勝手に生きて勝手に死んでいくようなショボい存在である。だからといって別にそれを悲観しているわけではなく、「私ってそ~ゆ~タイプだよな~」という事実を引き受けて生きているだけである。ヒーローにはなれず、ヒーローに助けられることもなく、ヒーローの知らないところで死んでいくモブというか、そんな感じの普通の人生である。まあ今まで地球に住んでいた殆どの人間はそういう風に生きて死んでいったんだろうし、それが歴史なのであろう。燦然と輝く歴史の陰で蠢く影。それが我々である。パンピーは何者にもなれないのがデフォ。

しかし、そういう事実を「ヘイ、マグロお待ち!」みたいな感じで目の前に突き出されると多少ションボリもするわけで、それが頻繁ともなると何とも言えない無力感に苛まれる。

 

 

それを私が最も感じる瞬間、それはHIKAKINジャンケンに敗北する瞬間である。

 

 

いや、HIKAKINジャンケンに勝てないんですよ。マジで。

私は結構ヒカキンの動画を見ている方だと思う。ヒカキンの動画は脳に優しい説をかつて提唱したのだが、この説は正しいと今でも信じている。ヒカキンの動画は情報量がないので(良い意味で)見た後に本当に何も残らず(良い意味で)、研究をして煮詰まった頭などに優しいんである。で、そんなヒカキン、動画の最後にジャンケンタイームを設けており、そこで「最初はブンブン!ジャンケンポーン!」てな感じでジャンケンして動画がグッバーイシーユーネクスターイなんですね。ってなんでセイキン君が!?あ、セイキンの動画もまあまあ見てます。

で、そのHIKAKINジャンケンに勝てないんですよ、マジで。(2回目)

多分勝率は1割、よくて2割くらいだと思う。マジで勝てない。ちなみに僕は真面目にあのジャンケン時の動きもしてるんですよ?PC画面の前で真顔であの動きしてる女って端から見るとやべえ気がしてきたけど、僕がやべえのは元からなのでそんなこと今更気にしてられっかよ。ダスカに「パジャマ買え」って言われたから、今日俺はじ~ゆ~でパジャマ買ったぜ。じ~ゆ~を出た後でダスカの分のパジャマ買うの忘れた事に気付いて、急いで近くの店に入ってダスカ用のフリフリピンクのパジャマを物色してる最中に我に返ってダスカ用のパジャマを買わずに店を出たぜ。ダスカが欲しがってたのはジェ○ピケのパジャマだったんだよね。今度ジェ○ピケ行ってダスカ用のパジャマをプレゼント包装して貰おうと思います。やるときゃ本気でやる。それが人間存在だろうが!

ていうかさ、話戻していい?なんちうか、なんかやっぱヒカキンってさあ、明らか物語の主人公じゃん。実際ヒカキンって漫画化してるし。ヒカキンが漫画化って日本語おかしい気がするけどまあいいや。仮に私を漫画化したとしたら、起承転結の起すら生じず物語が始まる前に終わるんじゃが。どうなってやがる。

ともかく、ヒカキンはヒーローであり、主人公であり、選ばれし者なのだ。勿論その背景には凄まじい努力があるということは動画を見ていると伝わってくるのだが、それは置いといて、その果てに彼が手に入れたのはそういう立場である。とどのつまり、ヒカキンは花いちもんめの「あの子」なのだ。欲しがられる「あの子」と最後まで欲しがられない僕。そんな僕は当たり前のように「あの子」には勝てないし、かすりもしないモブなのだ。ということをヒカキンジャンケンに負ける度に私は思い知らされる。ヒカキン、ちゅおい、ぉ。。。(遺言)

やっぱねえ、ヒーローとか、そういう選ばれる側の人間っていうのはジャンケンとかそういう些末な部分ですらナチュラルに強いんですわねえ。なんかこういうちっさい敗北みたいなのを積み重ねていって、自分が普通の何者でもないパンピーであるという事実に気付いていくのが大人になるって事なのかなとか思ったけど、もうとっくの昔にそんなこと知っている30の女を頻繁にグーで殴らんでもいいじゃないですか!?そんなの花いちもんめで最後まで選ばれずに残った小学一年生の時から、頻繁に体調を崩して無力に病床に伏す現在に渡って何十回も何百回も思い知らされてきたんですよ僕ァ!あのさぁ!私さ、話せば、話せば分かるからあ!人を青年将校に凸られた犬養毅にさせないでくださいよ!モブにも細やかだけれど人生ってモンがあるんですよ!?

 

まけーてくやしいはないちもんめ。あのこがほしい。あのこじゃわからん。うるせえ少なくとも俺じゃねえことは分かってんだよ!!!俺は、ヒカキンじゃねえ!!!(この世の真理)

 

なんかルサンチマン満載な文章になっちゃったんだけど。これ、ねえ、ちょっとどうしてくれんの?慰謝料請求すんぞ。どこにだよ。

まあ人生の約3分の2をルサンチマンで身を焦がして生きてきたから仕方ないっすね。後遺症みたいなもんです。しかし、選ばれた「あの子」の人生は正直かなり大変だと思う。お前は選ばれたのだから、という本来背負わなくてよかった筈の期待や重圧がそこには置かれているのだろう。選ばれた「あの子」の人生が大変であるのと同様、選ばれない私の人生もそれなりに大変で、ヒーローみたく他人なんて救えない。人間という存在は自分さえ上手く救えないのにね。だから私は明日もまたヒカキンジャンケンで負けて、「私はモブだなあ」と思いながら、少しだけ落ち込みながら、結局自らの負けを受け入れるんだろう。それを背負っている「あの子」をこっそり応援するんだろう。僕の歌を総て君にやるよ。

なんかいい話っぽく終われたな。ハナマルあーげる。要らねえ~。