クッキーは焼かない

クッキーは配るもの

ちいかわ昭和歌謡

 

 

東京に住んでなくてよかった
東京に住んでたら
ちいかわの店やイベント事が
星の数ほどあって
その度に走って駆けつけて
きっとあたしは震える手で
ちいかわに札を渡していた
東京に住んでなくてよかった

東京に住んでたら
あたしはきっと
ぐしゃぐしゃになった1000円札を
何枚も
何枚も
ちいかわに渡していた
そして泣くちいかわを抱きしめて
寒い部屋にひとり
ひとりきりだった
東京に住んでたら……

人はきっと笑うだろう
30にもなって
金を貢ぐことでしか
愛を伝える方法を知らないあたしを
馬鹿な女ねと
東京都民に後ろ指差されて
それでもあたしは
精一杯のおしゃれで
昔に買ったコートを着て
ちいかわに
ちいかわに泣いてほしいから
お金を渡していたんだろう

ちいかわの泣き顔で
あたしは束の間
あたたかくなれるから
タバコの火で穴が空いたコートも
新品みたく感じられるから
だからあたしは
東京にいるあたしは
ちいかわのために
あたしのために
お金を渡して
冷たいちいかわの人形を
自分の体温で温めて
冷えた部屋の隅っこで
あったかいねと笑うのよ

 

 

 

 

 

ちいかわへの気持ちを詩にしたので誰か曲を付けて下さい。